「い…いぃったぁー」
涙目になりながらぶつけた箇所をさすっていると、下から小田桐君が戻ってくる。
「琳ちゃん注意力なさすぎー」
笑いながらも、手を引いてくれる。
やっぱり、優しい。
「おじゃまーッ」
階段を降りきると、どこかで見たような部屋が待ち受けていた。
巻き布にマネキン、ミシン、カーテンの引かれた個室に大きな作業台___隠れ家的な乱雑とした風景。
先日訪れたデザイン部の部室よりも広くて、壁も床も、白を基調とした落ち着いたお洒落な一室。
「暗い?」
「ううん、大丈夫」
「そか。ここの主は目がちょっと光に弱くてさ」
天井には大きな照明が下がっていて、これを点ければ部屋全体、眩しく輝くのだろう。
けど今は、幾つかの間接照明で灯りをとっている。
こっちの方が、目にはやさしいかも。
「ん…伊澄兄さんいないな」
部屋を見回して、小田桐君がつぶやく。
「いずむ?」
「そ。オレの叔父さん」
伊澄……
聞き覚えがあるような。
「まぁいっか。座ってー」



