* *
「さて琳ちゃん、最近学校生活はどうですか?」
繋がれた手を振り払うこともできず、つれて来られたのは街中の新しい喫茶店だった。
ときどき感じる女の子の視線に、居たたまれない気持ちです。
「どうって、なによ急に」
「楽しい?って」
向かいの席に座る小田桐君の表情が急に真剣なものになってドキリとした。
「……来やすくは、なった、かな」
前野たちの顔が浮かんだ。嫌な意味で密度の濃かった1ヶ月。
けど、そこまで正直に言いたくはなかった。
「そっか。ん、それは何より」
彼は、運ばれてきた紅茶のカップに口づけて、嬉しそうに端整な顔を綻ばせる。
「それでねー」
ここからが本題ですとばかりに人差し指を立てる。
「オレさ、琳ちゃんのファンなんだよね。小学生の頃から」
ギクリと体が固まる。
それって、もしかして。
「2年前、モデル活動してただろ」
「……っ、してない」
俯くと、長めの前髪が目を隠した。
「仁科琳」
やめてよ。
踏み込まないで。
逃げ出した、過去に触れないで。
何も知らずにいい気になっていた、嫌な自分を思い出す。
「……に似てるから、琳ちゃんは」



