しばらくの間、私たち3人は食卓に座って互いの顔を見合わせていた。
お母さんと小田桐君が会話を楽しむ様子をうかがっていると、
「それでですね」
おもむろに小田桐君がそう切り出した。
「今日半日、琳さんをお借りさせていただきたいんですが」
彼は笑みを浮かべる。にっこり。
「えっ?」
にっこり。じゃないです。
びっくりして、思わず立ち上がってしまう。
その反動で倒れそうになった私のマグカップを、小田桐君の大きな手が受け止めて元の体勢に戻してくれる。ごく自然なその素早い動き。
なんでもないことのように、彼は手を引っ込めて笑いかける。
「琳ちゃん驚きすぎー」
「それ、どういうこと」
間髪入れず、問いかける。
「んー、まぁ、仲間との親睦を深めるといいますか」
「わぁー、いいわね。じゃあ琳のこと、よろしくね」
お礼を言って、小田桐君が立ち上がる。
「お許しいただきました!行こっか、琳ちゃん」
その笑顔を見てしまうと、体は意思とは逆に___小田桐君に尻尾が振れる。
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