「高校生デザインコンテスト?」
「うん、そう」
聞いたことがある。
毎回、TVでも放送される全国規模の大きな大会だ。
「知ってる?日本全国の高校生がデザインした服を、高校生が着てファッションショーするんだ」
「……うん」
まさか。
もしかして?
「それで、トップを争う。優勝者には留学金の賞品……本場パリで学べる」
視線をすくい上げるようにして目を合わせる。
ふたりの歩みが止まった。
「俺の夢。本気でデザイナーを目指してるんだ」
「……」
どうしよう。
モデルって、このことだったの?
このまま聞いていたら、絶対断れなくなる。
……こんな真剣な、表情されたら……
「琳ちゃん、頼む。オレと組んでよ」
いすくめられる。私だけに向けられた、どこまでも真っ直ぐなまなざし。
「オレの、モデルになって……?」
『オレのモデルにならない?』
あの言葉の意味が、ようやく解った。
懇願するような声音に、私の身体が固くなる。
……やめてよ、そんな、らしくない。
でも私は、素直にイエスとは言えなかった。
「……ちょっと、考えさせて……」
頬をなでていく夕方の風が、冷たかった。



