そんな菜緒もあたしの一言で全てを理解する。



「もう10月だよ、菜緒」



この一言で菜緒は「あー!」と理解した。
そしてニヤニヤと笑う。



「…あれか、バ彼氏の誕生日か!」



あたしはコクリと頷いた。



そう、10月は真琴の誕生日がある。
この月は真琴のテンションが異様に高い。



真琴の誕生日はもちろん前日から一緒に過ごす予定。



普通のカップルはきっと誕生日の彼氏のために彼女がプランを考えて、そこへ連れて行くのだろう。



でもあたし達の場合はその逆。



主役である真琴が行きたいとこを考えて、あたしに言う。



あたしに口出すことは出来ないし、拒否権もない。
だから普段のツンが出来ない。



こうなったのは去年の真琴の誕生日、あたしがプレゼントを忘れたせいで真琴の言いなりになったことから始まった、この方式。