美術部ってさ!

いつの間に帰ったのか…冬馬が片付けを終え、パーテーションの後ろから出ると、椿の姿はなかった。

戸締まりをして、榎本に声をかけてから部室を出ると、夕日に照らされた廊下に、椿が一人立っていた。

手には、飲みかけのブリックパックのレモンティーが握りられており、冬馬に気づくと笑いかけてきた。

「お疲れ!はい、コレ、お礼…ありがとな」

椿は上着のポケットから同じ物を取り出すと、手渡した。

「これは、ごていねいに、どうも…」

冬馬は遠慮なく受け取ると、ストローをさして一口飲んだ。

部活のあとの一杯は、サイコーですねぇ…などと呟いている冬馬に向かって、椿は思い出したように言った。

「そうだ、冬馬の絵見損ねたな…今度見に行っていいか?」

「もちろん…いつでもどうぞ…だいたい部室には来ていますから…」

「ああ、今度行くわ…他の変わり者っていう部員も見てみたいしな〜」

「ははは…いっそ、入っちゃったらどうですか?」

「あ〜それ榎本にも言われたわ〜考えとく」

と言って椿は、子供のように笑った。

「そう言えば、主観を外すってヤツさ〜」



椿と冬馬はデッサンについて語り合いながら、夕日に照らされた校舎を帰って行った。


(おわり)