下はジーンズ、足元にはスニーカー。
地味な色合いの服装は夜に溶け込んでいた。
その辺にいるような普通の少年・・・
月明かりに照らされた彼の顔を見た時、思わず息を飲んだ。
透き通るような白い肌に銀色の髪、私を見つめる穏やかな瞳はうっすら赤
かった。
彼を見つめたまま呆然としていると、そんな私の表情を見て、彼がくすりと笑った。
「お姉さん、この辺の人じゃないよね?」
私に話し掛けてるの?思わず周りを振り返って、また少年を見る。
「・・・はい、今日、この街に着いて・・・」
「もう帰っちゃうの?」
「ううん、ちょっと冷えたから、そこで温かい飲み物を買おうと思って」
私は自動販売機のある道路の方を指差した。
「奇遇だな。ボクも何か温かいものが飲みたいなって思ってたんだ」
彼は口元に笑みを浮かべる。
ゆっくり階段を上り切り、道路を渡った所にある自動販売機に向かうと、彼もガードレールの縁から腰を上げ、私の後をについてくる。
ショルダーバッグからサイフを取り出し、コインを入れ、温かいお茶を買うと、数歩後ろにいた彼が「ボクも飲みたいな」ともう1度呟いた。
お金を持っていなくて奢って欲しいのかなと思った。