「・・・文句なんてないよ。かわいいって有名だし・・・」
1つ年下のサッカー部のマネージャーはかわいい子だと有名だった。
そして、その子がシバケンを好きなことも。
遂に告白したんだ・・・そしてシバケンも付き合うことにしたんだ。
シバケンの口から直接聞くと、何だか切なくなった。
かわいい子だもんね、私が男の子だったらほっとけないもん。
そう言い聞かせるものの、ショックを受けてる自分がいた。
気付けば、あの時初めて、シバケンを「男の子」として認識したんだよなぁ。
シバケンに彼女が出来て、シバケンって私にとって特別な男の子だったんだなって思って、こっそり泣いたっけ。
「お前だって、バスケ部の奴と付き合ってんだろ?」
「え?付き合ってないよ。・・・告られたけど、断ったの」
「え!?マジかよ!・・・もっと早く言え、バカ!」
「バカって何?何でいきなりキレるの?バカ!」
あの頃は売り言葉に買い言葉でよく衝突してたっけ。
結局、シバケンはマネージャーの子とは長く続かなかったんだよね。
「もぅ、女と付き合うのはこりごりだ」なんて言って、その後は女っ気全然なかったから、すっかり安心しちゃってた。
自分の気持ちを伝える機会は多すぎる程、あったのに・・・伝えたい相手はもういない。

