頬を撫でる風が日増しに寒くなって来た。
もうそろそろコートを着てても、ここに来るのは辛くなるだろう。
すっかり色褪せた芝の上に座り、空を見上げた。
今日も青い空にぽっかりと白い雲が浮かぶ。
雲がゆっくりと流れていくのを見上げていた。
(ちりん)
鈴の音が聞えた気がした。
嫌だな、私ってば、先輩に会いたくてついに幻聴が聞えて来た。
(ちりん ちりん)
気のせい?
もしくはさっき校内に入り込んできたミケ猫だろうか?
(ちりん ちりん)
近づいて来る鈴の音に、瞼を閉じてカウントする。
1・2・3・・・瞼を開いて振り返った。
4・・5!
鈴の音の後にガサガサと垣根を掻き分ける音。
思わず、目を見開き、立ち上がった。