もう先輩がいなくなって2ヶ月以上経つのに、私はまだ先輩の姿を捜している。


しつこい奴だと自分に呆れる。

 
「この猫、オスだ!」

 
「そうだけど何で?」

 
「知らない?ミケ猫ってほとんどがメスなんだよ。オスが生まれる確率って1000匹に1匹くらいらしい」

 
「すご~い!レア猫じゃん!!」

 
女の子たちが感嘆の声を上げ、説明した男の子は得意そうにミケ猫を撫でていた。

 

私もその1000分の1のミケ猫に遭遇した。


気まぐれで、残酷で、けれど優しい。


私は今でも先輩のことが好きで、彼を忘れられない。


自動販売機でホットのカフェオレを買った。


無糖。


私はその缶で指先を温めながら、秘密基地に向かった。


常緑のその木の葉は散ることなく、冬を迎えようとしている。


ガサガサと垣根に潜り込む。


オレンジ色の小さな花はとっくに散ってしまった。


花の命は短く、あの甘くて爽やかな香りを楽しめるのはまた来年だ。