彼女は先輩を求め、先輩は彼女に答えた。
一夜の夢でいいと思える位、ステキな夜だった。
一緒に朝を迎えると、何事もなかったかのように彼女は旦那の元へと戻って行ったのだそうだ。
それから、先輩は彼女のことを考える時間が増えていった。
授業中、バイト中、ふとした瞬間に彼女を思い出した。
ある日ふらりと彼女がコンビニに現れた。
彼女にまた会えたことが嬉しくて、顔が綻んでいた。
そんな自分を意識した瞬間、彼女に恋をしているのだと自覚した。
「10歳も年上なんですよね・・・年齢、気にならないんですか?」
「好きになるのに年齢は関係ないよ。話をしてて、もっと早く生まれたかったとは思うけど」
おそるおそるの質問に先輩は笑顔で答える。
先輩はあの人に夢中だ。
「旦那との関係が上手くいってないと俺の所に来るんだ。彼女は俺が自分に惚れているのを知ってるから、寂しい時だけ寄ってくる。俺と抱き合うことで、女としての自信と旦那への愛を確信するんだってさ」
すっかり冷めたコーヒーを先輩は口に運んだ。
「それって、その人の好きなように使われてるだけじゃないですか?」
「そうかもね。でも、俺とあの人はそういう契約だから」

