今日は泉崎君がいないからやることもないし、一日中心配でソワソワしてた。


別に誰だって一日ぐらい休むこともあるっていうのに、無性に心配なのだ。




――そう言えば私、普段から自分のことばっかりで彼のこと何にも知らないや……。



彼に付きまとっていても、自分のことを一方的に話すぐらいしかしてなかった。


一緒に帰ったとしても、私の最寄り駅まで彼は送ってくれるけど、私は彼がどこの駅で降りるのかを知らない。



本当に、何も彼のことを知らない。


もっと聞いておけばよかった。





自分の失態に気付き落ち込んでいたときに、誰かから名前を呼ばれた。



「三神さん、三神さんだよね?」

後ろを振り返ると、そこにはさわやかなイケメン君がいた。


「えっと、どちらさまでしょうか?」


「あー、俺、唯人の友達で名取淳。よろしく」

「泉崎君のおともだちですかっ!」

「そう。それで本題なんだけど……

今日唯人が休んでるのは知ってるよね?」



「知ってます!」


「なんか風邪ひいたみたいなんだけど、先生からこのプリント渡しに行ってくれって頼まれたんだけど……。

俺今日は都合悪いんだよね。

だから三神さん、代わりに唯人の家にいってくれない?」




「えええぇーーーーっ!」


「いや、そんな驚かなくても……」


思わず叫んでしまった私に若干引き気味の名取君。


というか!泉崎君風邪ひいたのか!
大丈夫かな?


そう思って色々と思案していると、


「頼まれてくれる?」

「あっ、ハイ。もちろんです!」



名取君が私の顔を覗き込んできた。

何故だか少し考え込むようなしぐさをしたけれど、すぐに笑顔になって「良かった」とつぶやいた。





というわけで、期せずして泉崎君のおうちにうかがうことになりました。