雨が降りしきる2人だけの屋上は、とても静かで。


「ありがと、佐伯」

「……気分は?」


まだ雨は止まない。

けれど、痛みは僅かに引いている。


「佐伯のおかげで少し落ち着いたかな」


気恥ずかしさと共に笑って見せると、佐伯は微笑んで言う。


「必要なら、また付け入ってやる」

「──え」


ちょっと待って。

今日だけじゃないの?


驚いている私とは逆に、佐伯は何で驚いてるんだと言わんばかりの顔をしている。


「や、あのね、そもそもこんなの本来イケナイじゃない?」

「何で」

「だって佐伯、彼女は……?」


今現在いるという話を本人から聞いたことはない。

自分の弱さのせいで、すっかりその部分が抜けて佐伯に甘えてしまったけど……