片桐。 静かな、佐伯の声に呼ばれて顔を上げると。 視界いっぱいに 佐伯の顔が迫って。 唇に、温もりが重なった。 触れているのは 佐伯の……唇? 何が起こったのか理解できなくて。 私は、見開いた目から またひとつ、涙を零し 固まっていた。