ホント、いい男だと思う。

佐伯が言葉にしたものは、今の私には何より欲しくてたまらない言葉だった。

私の勘が当たってしまう時が来たら、間違いなく1人じゃ立っていられないはずだから……


「ありがと」


すでに去った佐伯に、聞こえるはずはなくても感謝の言葉を小さく述べて。

私はあえてもう一度中庭を見る事なく、その場を離れた──‥