「……こ、れ……?」


繊細で可愛らしいデザインの指輪を見ながら瞬きを繰り返す私を見て、蓮は優しさを帯びた声で答える。


「これは、なずなだけの結晶だ。決して消えない結晶」


話しながら、蓮は私の左手の薬指に指輪をそっとはめた。

そして、私の瞳を真っ直ぐに見つめて。


「あとは俺が一生かけて証明する。俺の中にある想いの結晶が、溶けることはないってな」


そんな風に言うから。


嬉しくて、切なくて、愛しくて……


「ありがとう、蓮」


微笑み、左手を胸にあてる。


「私も、証明するよ。私の中にある想いの結晶はずっとここにあるって。一生かけて、蓮の隣で」


指輪は私の宝物として輝き続けるけれど。


私たちが持つ世界にふたつとない恋の結晶は、二人でいてこそ。


私の言葉に蓮は幸せそうに頬を緩めると、少し冷たいその唇を、私の唇に優しく重ねた。

そして、笑みをもらし……


「行くか」


言って、傘を持ってくれる。