この場から逃げ出したいような気分になりながらも、どうすることもできずに視線だけを逸らす私。

けれど、こうして向かい合える一秒さえももったいない気がして視線を戻すと、そこには、柔らかく瞳を細めている愛しい人。


ふわりと穏やかな風が吹いて、夕日を受け、橙の輝きを含んだ彼の髪が揺らめいた。

愛しさと、切ない色合いに胸が締め付けられた刹那。


「俺も、閉じ込めたりしない。何があっても二度と、離したりしない」


耳に届いた大好きな人の囁くような声。

私がひとつ確かに頷けば


愛おしむような口づけを交わしたのだった──‥