薄暗い右京の部屋は、彼のつけるコロンの香りが漂っている。 こうして右京と唇を重ね合わせるのは、もう何度目だろう。 会うのはいつも右京の部屋。 愛の言葉なんてない。 ただ、彼の悲しみや不満を一時でも紛らわせるだけに、私は右京に身体を預ける。 頬に触れる彼の手のひらから伝わる体温は、少し冷たい。 その冷たさに、なんだか泣きたくなって。 私は心の中で繰り返す。 右京が私を必要としてくれるだけで、いいのだと。