「もしも、できていたとしても、俺はお前を選ぶ」

「そんな……」


思わず眉をひそめてしまう私に、蓮は自嘲気味に微笑んで。


「ひどいと思うか? でも、それが本心だ。償いはする。でも、未来はなずなとの道を選ぶ」

「蓮……」


キッパリと言い切った蓮。

私の心臓が、大きく跳ねた。


嬉しい、と喜ぶように。


「俺にとってなずなは、唯一の存在なんだ。誰にも代えられない。いないと、呼吸もできないくらいに」


蓮の瞳も声も真っ直ぐで。

彼の想いに、目頭が熱くなる。


「わ、たしだって……私だってそうだよ」


蓮がいないと、息もできないくらい苦しい。


「私にとって、蓮はただ一人の人だよ」


告げると、蓮は目尻を下げて目を細める。


「それなら、また一緒に前を向いてくれるか?」