ぼんやりと霞んだ意識。 遠くの方で、規則正しい電信音が聞こえる気がして、なんとなく耳を傾ける。 ──ピッ、ピッ、ピッ。 次第にはっきりと耳に届くその音を確認しようと、私はゆっくりと瞼を開いた。 すると。 「なずな?」 私の名を、大好きな人の声が呼んだ気がして。 ゆっくりと視線を辺りに巡らす。 見慣れない天井。 淡い水色のカーテン。 そして── 心配そうに私を見下ろす、蓮。 「……あれ……?」 私、どうしたんだっけ。