誰もいない家の中。

ソファーに寝転んだ私は、クッションを腕の中で強く抱き締めた。


──ピンポーン。


チャイムが鳴って、腕の力を緩める。


「誰だろ……」


宅急便か何かだと予想しながらインターフォンのカメラを覗けば、そこにいたのは……


蓮だった。


「どうして……」


声を漏らし、とりあえず通話ボタンを押す。


「蓮……どうしたの?」

『少し話がしたいから、時間もらえるか?』

「う、うん。ちょっと待って」


この辺りで野宮さんがウロウロしている事はないと思うけど、万が一の事があったら大変だと思い、急いで玄関の扉を開けた。

すると、蓮が微笑みを携えながら立っていて。


「えっと……とりあえず入って」

「いきなり悪い」

「ううん」


私は蓮に部屋に上がるように伝えて、自分はそのままキッチンへと向かった。

飲み物と簡単な茶菓子をお皿に乗せてから、それらをお盆で運ぶ。