蓮に言われた通り協力するようになってから数日後。


「はぁ……」


私は溜め息を吐きながら廊下を歩いていた。


蓮の言葉と想いに、捨てきれなかった気持ちが日に日に膨らんでいく。

今すぐに彼に想いを打ち明けられたらどんなに楽になるだろうかと考えて、私は今日何度目になるかわからない溜め息を吐き出した。

と、その時だった。

ドンッと肩がぶつかって私はよろける。

何が起こったのかと確認すれば、私の横で女子生徒が転んでいた。

うつむいているので顔は確認できないけど、どうやら後ろから歩いてきた彼女とぶつかってしまったようだ。


「ごめんね、大丈夫?」


彼女を立たせようと手を差し伸べると「ありがとう」と声にしながら私の手をとる。

そして、立ち上がった彼女の顔を見て、私は「──あ」と声を漏らした。

彼女も私と同じように声を漏らし、少し戸惑ったように視線を反らして手を放す。


「夏目さん……」


彼女とこんな風に顔を合わせるのは河川敷で会って以来。

私は少しの躊躇いの後、夏目さんに声をかけた。