いつからだろう。

頭上に輝く太陽の熱が、夏の香りを連れてたのは。

気付けばもう夏は始まっていて、あっという間に夏休みが目前に迫っていた。


「そーいえば、なずなは行くの?」


休み時間にクラスメイトのユメちゃんと話していたら、突然そんな風に聞かれて私は首を傾げてしまう。


「行くって?」

「男バスの全国大会だよ。彼氏の応援行くんでしょって」

「あ……うん……多分」


濁してしまったのは、私とハルの関係が微妙な空気のままなのが原因だった。

蓮が怪我をしてしまったあの日から、ハルは私を避けている。

ここ数日、ずっと口をきいてないしメールもしていない状態だ。

同じ教室にいるのに、目を合わせる事さえない。

でも、これは私もなんとなく逃げてしまっているのが原因なんだろう。


「多分かー。やっぱ何かあったんだね」

「えっ」

「喧嘩してるか別れたかって噂になり始めてるよー」

「そ、そうなんだ……」


確かに、あれだけ毎日一緒にいたのに落差が激しいもんね。

そう思われるのは当然なのかもしれない。


「で、実際どうなの?」


まるでレポーターのようにマイクを差し出す真似をしたユメちゃん。

私はそんな彼女に苦笑いを向けて「事務所を通してください」と誤魔化したのだった。