「右京はどう? かりんを幸せにしてあげてますかー?」


暗い雰囲気にしないように、話題を右京へと逸らしておどけてみせた。


「幸せかどうかは、かりんが判断する事だしなぁ」

「じゃあ、右京は幸せ……に決まってるか」


念願のかりんゲットなわけだし、幸せじゃないはず──


「どうかな……」

「……え?」

「蕾のまま摘んで枯らすはずだった花の存在が、時々幸せの基準を崩すんだ」


蕾? 枯らすはずだった花?

何を指しているのかわからなくて、瞬きを繰り返して右京の横顔を見ていると、彼はフフッと笑った。


「変な顔」

「ちょ、不思議そうな顔って言って!」


結局、右京が何を言いたかったのかわからなかったけど、久しぶりに私は右京と時間を過ごした。

逃げても仕方ないのだけど、ハルの話題を出来るだけしないようにしながら。