夜のネオンに照らされた街中を右京と二人で歩く。

人々の声や足音が行き交う中、気遣うような右京の声が耳に届いた。


「……ハルと何かあった?」


やっぱり右京には気付かれていたんだと悟る。

ハルの様子と私の態度を見てれば、普通はわかっちゃうよね。

だから私は隠さずに伝える事にした。


「ちょっと……喧嘩というか、別れの危機というか……」


自分でも状況が掴めていない部分があるから変な回答になってしまったけど、右京は普通に返してくる。


「やっぱりな。そんな空気、あったもんな」


で、ですよね。

あの流れを見てて何も感じないのは相当の鈍感だろう。

私も鈍感な方だとは思うけど、あんな空気ならさすがに何かあったんじゃないかとは感じるはずだし。


「それで、大丈夫そうなのか?」

「どうだろ……わわかんないや」


漏らして、私は苦笑いを返す。

そうすれば右京もちょっと困ったように笑んだ。

だから私は「わかんないけど大丈夫」と続けて。