蓮の言う通りだ。

さっきもかなりハルを傷付けたし、本当なら良くないけど……


「……でも」

「礼をしたいって感じなら、治ったあとにたっぷり貰う」

「……何その顔は」


よからぬことを考えているような、意地悪そうな笑みを浮かべた蓮。

それは今日事故った人とは思えない表情だ。

右京がクスクスと笑う。


「それこそハルが怒るだろ。ほら、こんな事言う元気あるし、暫く放置でもいいんじゃないか」

「そうだね」


私が呆れた顔して頷くと、蓮は「つまらん」なんて零した。

結局、無理強いはせずに私は右京と病院を後にしたのだった。