辛い辛いと心が叫ぶ。

蓮を、ハルを傷つけてるのは私なのに。

私はなんて身勝手なのだろう。


力なく歩きながら病室に戻ると、右京が微笑んで私を迎えてくれた。

嬉しそうな明るい表情に最初は首を傾げたい気持ちだったけど、すぐに理解した。


さっきまで閉じられていた蓮の瞼が開いて、柔らかさを纏った瞳が私を映していた。

意識が戻ったのだ。


「蓮っ! 良かった……」


小走りにベッドに寄ると、蓮は唇を開く。


「……なずな……怪我は?」

「私は大したことないよ、蓮のおかげ。ありがとう」

「そうか……」


怪我して横になっているのは自分なのに、私の心配をして口の端を上げ微笑む蓮。

涙が溢れそうになるのを必死に押しとどめていると──


「ハルは?」


右京の声がハルの名前を口にした。