ハルが言ってたように、バカじゃないかと笑えば良かった?

勘違いだと怒るのが正解だった?

ううん、きっと……どれも、今のハルの心には届かない。

完全に信じてはくれないんだろう。


「こんなんじゃ……もう上手くいかないよ……」

「……それ、別れたいって事かよ」

「…………」

「んで……否定しねぇんだよっ!」


叫ぶように声にしたハルが、私の肩を掴んだ。

強い握力に、私は小さくうめき声を漏らす。

けれど、ハルは気にした様子もなく言った。


「痛いのは……俺だってそうだよ……」


ハルも……痛い?


「ずっと、痛くてたまんねんだ。だってお前……俺に嘘ついてんじゃん」

「ついてな──」

「ついてんだろっ。佐伯に彼女が出来たって話しした時、お前は本当は知ってた。けど、知らなかった振りしたんだ。自分の気持ちを誤魔化すために、俺を利用しただろっ」


否定、出来なかった。

確かに私はあの時、蓮へのどうしようもない気持ちを誤魔化す為に……ハルの存在に甘えたのだから。