白い壁、無機質な天井。

クリーム色のカーテンで遮られたスペースの中に、彼は眠っている。

昼間の事故からまだ意識は回復してない状態だった。

今も彼……蓮が眠っているのは、どうやら点滴から流れる麻酔が原因らしい。

蓮以外に患者さんのいない大部屋で、私は眠る彼の傍らでただ座って様子を見ていた。


本来、ここに眠っているのは私だった。

だけど、蓮に助けられてその立場は逆になった。

もしかしたら打ちどころが悪ければ……ここでこうして息をしている事はなかったのかもしれない。

そんな風に考えたら、心臓が握りつぶされるかと思うくらいにギュッと傷んだ。


あの時、私があの場にいなければ蓮はこんな事にならなかったのに。

どうしては私は蓮を傷つける事しか出来ないんだろう……


と、静かな病室内に廊下を歩く誰かの足音が聞こえてくる。

それは病室の前で止まると、代わりに私の名前を呼んだ。