「……どうしたの? 何か必要なものでもあった?」

「ストップウォッチってあるか?」

「それなら──」


ストップウォッチのある場所を教えようと大勢を変えようと動いた……その直後。

グラリと棚が揺れて。

驚き棚に視線を向けた瞬間、まるで時間の流れが止まったような感覚が私を襲った。


目前に迫る大きな棚。


その光景に……


金縛りにあったように動けない、私。


「なずなっ!!」


蓮の声がすぐ近くで聞こえたかと思ったら──


体に強い衝撃が加わって、私はそのまま地面に倒れた。


立て続けに耳に届くのは金属がぶつかる音と、たくさんのものが崩れ落ちる音。

それらをわけもわからず耳で受け止めながら、私はいつの間にか閉じていた瞼を開いた。