「んー…まあでも、ハル君の気持ちもわからないでもないかなぁ」


てっきり私を味方する発言をするのかと思っていた私は瞬きしながらかりんを見つめる。

と、かりんはどこか言いにくそうにしながら微笑みを浮かべた。


「佐伯君といた時のなずなは、本当に幸せそうだったから」

「私が?」

「うん。ハル君もそれは感じてただろうし、佐伯君となずなが二人でいると不安になるのかなぁって」


言い終えると、かりんは鏡を取り出してツヤのある綺麗な髪を梳かし始める。

私はそんなかりんの姿をただ眺めていて……


「……ね、かりん」


彼女の名前を呼んだ。


「んー?」


ハルといる私は、幸せそうに見える?


喉まで出かけて、その問いかけを呑み込んだ。


こんな質問、おかしいじゃない。


そう自分を叱って。


「……何言おうとしたのか忘れちゃった」


笑って、別の話題を持ちかけたのだった。