「関わるなっつったろ」

「ご、ごめん。でも野宮さんいないし……」

「俺がやなんだよ!」


吐き捨てるように言われて、私はビクリと肩を震わせた。


「ごめん、なさい……」


もう一度謝ると、しばらくしてハルがケースを持ち上げる。


「で、どこに運べばいい?」


まだ少し硬さのあるハルの声。

視線も私ではなくケースに落とされていて、気まずい雰囲気が漂う。

そんな空気を少しでも軽くしたくて、私は出来るだけ穏やかにありがとうと告げてからかりんのいる場所を説明した。


さっき幸せを感じたはずの洗剤の香りを、どこか遠くのもののように感じながら──‥