「で、ヒントっつーか、"俺も佐伯も原因のひとつかも"って話したんだけど……まずった?」

「ど、どうかな……」


それだけの情報で野宮さんに辿り着くのだろうか。

可能性のひとつとしては上がるかもしれないけど……


「もしかしたら、佐伯は野宮さんの気性みたいなのを知ってるから、一番あり得るものとして探ってたのかも」

「んー…確かに佐伯はそういうの恐ろしくまわる奴だからなー」


ハルの言葉に私は苦笑いしながら頷く。


「とりあえず、俺もなずなも佐伯にバラしたわけじゃねーし、野宮が動く可能性は低いんじゃねーかな」


ハルは自分の頼んでいた飲みかけのストロベリースムージーを喉に流し込むと、窓の外に広がる街並みを見ながら──


「それに、俺と付き合ってるしさ」


感情の読み取れない平坦な声色で、私たちの関係を口にした。

どうしてか釘を刺されたように聞こえてしまうのは……


完全に私の心が不安定な証拠だった。