「佐伯は……何も悪くないよ」 「優しくされると、掻っ攫いたくなる」 冗談とも本気ともつかないセリフに、私は蓮の顔を見る事ができなかった。 ただひたすら、ハルがいるであろうアリーナのある方角を見つめ、支えてくれているハルの気持ちを踏みににじる事だけはしたくないと心に刻み…… 蓮の想いから 私の想いから 逃げていた──‥