もう、頭も心もぐちゃぐちゃだ。


蓮への想い。

ハルへの気持ち。

野宮さんの脅し。


……蓮が気付いたこと、ハルに話した方がいいんだろうか?

蓮の気持ちまで告げる事はハルの反応が怖くて出来ないけど、野宮さんの件はハルも関わらせてしまってるわけだし……


ハルに何も話さないのは、おかしいよね。

うん、話そう。


私は本をたたんで元あった棚にしまうと鞄を手に図書室を出た。


陽はすでに傾き始めている。

そろそろバスケ部の練習も終わる頃だろう。

ハルと一緒に帰れば話も出来るし、迎えに行ってみよう。


昇降口に着いて、自分の下駄箱から靴を出して地面に置いた時だった。


「まだいたのか」


その声にドキンと心臓が跳ねる。

顔を上げると、開け放たれたままの入り口にユニフォーム姿の蓮が立っていた。