『今日はミーティングだけだから、一緒に帰ろうぜ』


休み時間、そうハルに誘われた私は、放課後になると教室で時間を潰してから正門へと移動した。

少し早かったかな?

正門横に設置されている時計を見た後、視線をハルがやってくるであろう方向へと向けると……


ハルではない”彼”がこっちに向かって歩いてくるのが見えた。


ズキン、と痛む心。

切なく愛しさを含んだ痛みに、私は罪悪感を覚えた。

本当に、どこまで未練たらしいのだろう。

だけど……蓮の姿を見てしまうと忘れられない想いが、隠しきれない痛みが顔を出すのだ。

それは、かりんから聞いてしまった日から特にひどくなってる。


落とされていた蓮の視線がついに私の姿を捉える。

瞬間、思わず目を逸らしてしまった私。

そのまま通り過ぎると思ったのに、彼は私の前で立ち止まった。


「よう。ハル待ちか?」


それは、私がまだ右京と関係を持っていたあの頃のような、友達として頼りにしていた時と同じような声色と態度だった。


普通に接してくれてる。

それが嬉しくて少し寂しい。