早く消したかった。

蓮によってもたらされた痛みと想いを消してくれるのは、今、ハルしかいないから。


「菓子オッケー、飲み物オッケー。あ、何か聴く?」

「……いらない。ハルだけでいい」

「へ……?」


相変わらずのずるい私。


ハルの腕の中に飛び込んで、彼の胸に顔を埋めた。


吐き気がする。


人に寄りかかるばかりで成長しない自分に。


大切にしたいと思う人を、利用するような自分に。


「どうした……?」

「……なんでもない。少しだけ、このままでいさせて」


キュッと彼の着ているTシャツを掴む。
すると、ハルは何も言わずに優しく抱きしめ返してくれた。




ごめんね、ハル。

私は本当は、あなたに愛される資格も


愛する資格も


ないのかもしれないね。