「私ね、ちゃんと桃原と向き合いたいって思ってるよ」

「うん」

「もっと桃原のこと知って、好きになりたいなって、思ってるから」


言ってしまってからその言葉の恥ずかしさに体がカッと熱くなる。

顔は絶対赤いはずで、それを隠すように慌てて俯けば。


「……可愛すぎ」


聞こえた顔にチラリと桃原の様子を伺うと、彼もまた赤くなっていて。

私はまた、思わず笑ってしまった。

桃原もその表情を柔らかくして眉を八の字にしたまま笑う。

でもそれはごくわずかな時間。

私はいつの間にか、桃原の腕の中に閉じ込められていた。


「もし、嫌だったら言えよな?」


耳元で聞こえる桃原の声は、どこか不安そうで……


「うん……」


不安を消してあげたくてそっと抱き締め返すと、桃原の抱き締めが強くなる。