「もうっ」

「なになに、ちょっと意識したとか?」

「そっ、そんなんじゃ──」


と、室内に私の携帯のメール着信音が流れる。

私は桃原にそんなんじゃないからねっと言い直してから携帯を手にして液晶を見る。

携帯を操作してメールボックスを開けば、蓮のアドレスが表示されていて。


ドクンッと私の心臓が強く鼓動を打った。


な、何で蓮から?


私は騒ぐ心臓に急かされる様、メールを開封する。

件名はなく、本文には『ありがとう』という文字だけが綴られていた。

これはきっと、今日の事だろう。

もう連絡何て来ないと思ってたのに……

して、くれた。


「……片桐」

「は、はいっ」


桃原のちょっと冷たい声色に肩を震わせて顔を上げる。

視線の先には、不機嫌そうな桃原がいた。