赤い夕焼け空。

道路には私と桃原の影が長く長く伸びていて。


「……なぁ、今日ちょっとお前の部屋で休んでから帰っていい?」


桃原に零すように頼まれる。

もしかしたら、さっきの蓮の話かな?

あんな風に庇ったりしたから何か言われる、とか。


「うん、いいよ」


何にしても、私には予定もないし桃原は私の彼氏だ。

断る理由なんてない。


家に着くと私たちはさっそく部屋へと向かう。

荷物を置いてから、私はキッチンへと向かい、お母さんに頼んで飲み物とお茶菓子をもらった。

それを自室へと運んで桃原に差し出す。


「サンキュ。片桐のお母さんいたんだ」

「うん。これから夕飯の支度だって」

「そっか。ちょい残念」

「えっ──」


そ、それはいかがわしい系の残念の意じゃあ──


「なんちゃってー」


ハハハと笑った桃原。

私はそんな桃原をジトッと睨んだ。