そろそろなんだけどな。


早朝、制服に着替えて身支度を整えた私は、開け放された自室の窓から少し身を乗り出して待っていた。

スズメが軽やかに歌う声が耳に届いて、気持ちいい朝の風が部屋の中へと吹き込めば。


──フワリ。


胸元まで伸びている髪が揺れて靡く。

切りそろえたばかりの髪を手グシで梳かし、まだ人の少ない道路に視線を戻すと……


待ち人が、やって来た。


どちらかといえば色白で、男の人にしては線の細い体にまとうのは、私と同じ高校の制服。

彼は歩きながら、色素の薄い茶色の瞳をこちらに向けた。

そして、その目に私の姿を捉えると、女子に大人気の中性的な顔立ちに微笑みを浮かべ──


「おはよう、なずな」


手を振った。