真実を誰にも言ってはいけない。

親友のかりんにも。

親友だから黙っていてと話す事くらいいいかもしれない。

でも、かりんの事だ。

自分の事のように悩んで、耐えきれずに右京に零すかもしれない。

そうなれば……右京もまた蓮に零すかもしれない。

直接的にではなくとも、それとなく。

そうなったら桃原の立場が危うくなってしまう。

万が一の事を考えたら、やっぱり相談は出来ない。


それに……相談しても、もうどうにもならないだろう。


蓮と私は、もう元には戻れない。


戻ったらいけない。


「佐伯君はさておき、ハル君とはどうなってるの?」

「へっ?」


突然の質問に私は変な声を出してしまう。

かりんを見れば、彼女はニコニコしていた。