桃原は、まるで蓮の代わりのように私一緒にいてくれるようになった。

私にとって桃原の存在はとてもありがたかったけど、桃原には彼女がいる。

いくら関係が冷えているとは聞いてても、引っかかっていたから……


放課後、カラオケルームに入るなり私は言った。


「ねぇ、私なら大丈夫だよ?」

「……何が? つーか、突然どうした?」


桃原はわけがわからないといった様子でちょっとだけ首を傾げて私を見る。


「その……桃原の彼女が勘違いしてもいけないから……」

「あー、それね。なら心配ねーって」


本当に問題なさそうに余裕の顔で答えるから、私はさすがに驚いて手を横に振って制止した。


「心配あるってば! もしかしたら彼女は桃原をちゃんと好きで──」

「別れたから」


……え?

今……何て?


私が固まってると、桃原はにっこりと笑った。