「お前さ、誰かの恨みでも買ってんのか?」

「わかんない……」


私が誰かを傷つけたりしてるんだろうか?

真剣に考えてみたけど、トラブルになりそうな事なんて身に覚えがない。


「で、携帯にかかって来てたりすんの?」


問われて、私は答える事に躊躇した。


桃原と蓮は仲がいい。

ここで頷いたら蓮に伝わってしまうかもしれないし、何より桃原だって試合に出るはずだ。

変な事に巻き込んじゃ──


「佐伯には言わないし、安心しろって」


まるで、心を読んだように桃原が言ってくれる。


「……でも、桃原はもうすぐ試合だし……」

「関わる事ないって? 俺、そこまでメンタル弱くねーけど。むしろ片桐がこんな事になってるの中途半端に知ってる方がイライラするっつーかなんつーか」


腕を組んで一人で頷きながら話す桃原。