「……そっか。確かにそうだったかも」
かりんは少しだけ申し訳なさそうに微笑みながら唇を動かす。
「好きだったから、気を遣っちゃってたっていうか……彼に嫌われたくなくてそうしてたんだ」
かりんの言葉に私は頷いて見せた。
誰だって好きな人には嫌われたくない。
だから相手の都合に合わせてみたり、嫌な事でも我慢してみたり。
そんな恋愛なんてきっとたくさんの人が経験してるはずだ。
だけど、そうしなくても自然体でいられる相手もちゃんといる。
そういうカップルが長く続いてるものなんだろう。
かりんと青木君はたまたまそんな相性じゃなかったというか……
まさに、青木君の言う通りの『好きでも合わない』組み合わせだったんだ。
「ありがとう、なずな。なんか、これでちゃんと終われた気がする」
「うん……良かった。けど……」
私は小さな溜め息を吐き出して。
「うまくいかないね、恋ってさ」
なんとなく口にするとかりんがクスクスと笑う。
