下駄箱を通り、クラスのある二階へと向かい階段を上っていると、桃原がチラっと私を見て言った。


「片桐って佐伯にとって特別なんだな」

「……どうして?」

「アイツさ、自分から報告してきたんだよ。部室でいきなり。何の脈略もなく”片桐と付き合うことになった”ってさ」

「そうなんだ……」


嬉しくて、恥ずかしくて。

頬に熱を感じながら階段を上りきる。

そのまま廊下を歩き、新しいクラスのプレートが見えてきた所で桃原が少し口元を緩ませた。


「あれは確実に”手を出すな”って事だよなー」


言われて、さらに顔が赤くなってしまった。

しかも、嬉しさが隠しきれずにちょっぴりにやけてしまう。

それを見逃さなかった桃原がニシシと笑って。