「…」


私は戸惑って何も言えないでいた。


「えっ?」


しかし戸惑っている私を他所に、麗斗は私の両腕を持って軽々私を立たせた。


「痛っ…!」


地面に足を着いた時、足首にズキンと鋭い痛みが走った。


「大丈夫か?」


「痛い……」


「歩けない…?」


私は小さく頷いた。


「そっか…。ごめん、少し我慢して」


「えっ?」


フワッ。


体重がなくなってしまったように、自分の体が軽くなった。


「ちょっ…!ちょっと!」


突然の状況に驚いて上を見上げると、さっきまでコンクリートの地面が映っていた視界には麗斗の顔のアップが映った。


「なっ…何で…?」


恥ずかしくて、俯く。


今までにこんな経験したことない。


気付くと私は麗斗の腕に横抱きにされていた。


いわゆる、お姫様抱っこだ。