やっぱり……。
追いかけてきてくれないのが、何よりの証拠だ。
諦めの悪い私。もしかしたら、麗斗が私を追ってきてくれるんじゃないかって思ってた。
下駄箱の中にあるはずの外履き用の運動靴はなくて、私の苗字が書かれた場所は誰も存在しないかのように空いていた。
視線を下げてふと自分の足元を見ると、緑色をした来客用スリッパが安っぽい光沢を光らせていた。
私は麗斗と付き合って、色々なものを失った。
上履き、運動靴、書道道具、体操着、教科書、ノート…。
それから、友達……。
言えばきりがないほど沢山のものを失った。
でも、それでもいいと思えた。
何もかも失っても、彼から得られるものは、何にも代えられない大切なものだと思ってたから。
しかし、それは私の思い込みだった。
空っぽな下駄箱を見つめたまま、私は一人静かに涙を流した。
「何で……」
もう私には何もない。
大切なものは全て何もかも、消えてなくなってしまった。
私に残ったものは、大きな心の傷だけだった。

