「明日は、美桜のところ真っ先に来るから!」
自分の顔の前で両手を合わせ、少し笑いながら麗斗は謝った。
私に会いに来るの、本当は苦痛でしょ?
ゲームに負けたから、仕方なく私と一緒にいるんでしょ?
だったら、もう……。
「明日は…いいよ」
「ん?何?」
小さな声で呟いた私の声が聞こえなかったのか、麗斗は首を傾げた。
「明日は、来なくていい」
私はさっきより少し大きな声で、もう一度繰り返した。
自分でも驚くくらい冷静な声だった。
「えっ…?何で?」
「もう来なくていい…。ずっと、もういい」
「はぁ?意味わかんないし…」
麗斗は困った顔をしていた。
そんな顔を見てると、私が悪いことをしてしまった気分になる。
「もうね、いいの。来ないで…。私たち、もう終わりにしよう…」
一息もつかないで、私はそう言い放ち教室に入ってすぐに鞄をとって、下駄箱まで走った。
はぁ、はぁ、はぁ…。
息が乱れて苦しい。
もしかしたら麗斗が追ってきてくれるんじゃないか、と少し期待して後ろを振り向くも彼の姿はなかった。

