「あっ……」
混乱する私の頭の中に、さっき麗斗が言っていた言葉が浮かび上がった。
麗斗の友達が『賭けに負けたから』と言った時、確かに彼は『まぁな』と言っていた。
ということは…、賭けというのは本当のことなんだ。
「ってかさー」
麗斗の友達が再び何かを話始めようとした時、これ以上何も聞きたくなくて、私はその場から走り出した。
必死で1階まで階段を駆け下りて、空き教室の前にある滅多に誰も使わない、女子トイレへ駆け込んだ。
バタンと勢いよく個室の扉を閉めると、足が竦んで身体に力が入らくなった。
その場に私は力なく座り込む。
全部、嘘だった。
あの優しい瞳も、言葉も賭けに負けたからしたことで、私を想ってのことじゃなかった。
思い出してみると、麗斗からの告白は唐突だった。
何の接点もない私を、好きだなんてよく考えてみれば可笑しい。
バカみたい…。
私一人、何も知らないで舞い上がっていた。
勝手に、麗斗から好かれてるって思い込んでいた。
私って、とことんダメな奴だ。救いようがない…。

